CASESTUDY ケーススタディ
商標

結合商標

ご相談例

当社は、身飾品等を指定商品として「AGATHA」という商標を登録しているのですが、先般、同業他社がウェブサイトで「Agatha Naomi」との標章を付したアクセサリーの通信販売をしているのを発見しました。これは当社の商標権を侵害していると思うので、販売の差止・損害賠償請求をしたいのですが、可能でしょうか?

松本の解説

場合によっては可能です。アクセサリーの分野において「AGATHA」の周知性や,取引者,需要者に対する印象にもよりますが,同業他社の標章からは,「Agatha」という称呼・観念も生じ得るので,これと登録商標は出所を誤認混同するおそれがある、つまり商標権侵害となることがあり得ます。

過去の判例①

結合商標の類否の判断(AGATHA事件)

裁判所は,同様の事例で,「Agatha Naomi」との標章は,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとまでいうことはできず,アクセサリーの分野において「AGATHA」が周知性を有し,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることに照らすと,「Agatha Naomi」という一連の称呼・観念のほか,「Agatha」という称呼・観念も生じ得ると判断した。そして,「Agatha」と本件商標「AGATHA」とを対比すると,称呼及び観念が同一又は類似であることに照らすと,デパートにおける販売とインターネットを通じた通信販売という販売方法の相違を考慮してもなお,被控訴人各標章中の「Agatha」は,周知の「AGATHA」との出所を誤認混同するおそれがあるとして,商標権侵害を肯定した。(平成21年(ネ)第10031号 商標権侵害差止等請求控訴事件 平成21年10月13日知的財産高等裁判所)

弁護士コメント

複数の構成部分を組み合わせた結合商標について,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,①その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,②それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されない。商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していなければ,一個の商標から2つ以上の称呼,観念が生ずることが少なくない。そのうちの1つの称呼,観念が類似するときは,両商標は類似するとされている。本件で裁判所は上記①に当たるとして分離考察をしたものである。

過去の判例②

結合商標の類否の判断(リラ宝塚事件)

石鹸を指定商品として、リラと呼ばれる抱琴の図形と「宝塚」との文字との結合からなる商標に関連して、「簡易、迅速をたつとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必らずしもその構成部分全体の名称によつて称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによつて簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである」と判示し、当該商標中の「宝塚」部分のみも要部たり得るとして、同じく指定商品を石鹸とする「宝塚」なる商標と類似すると判示した(最一小判昭和38年12月5日民集17巻12号)。

弁護士コメント

本件では、「右図形が古代ギリシャの抱琴でリラという名称を有するものであることは、本願商標の指定商品たる石鹸の取引に関係する一般人の間に広く知れ渡っているわけではなく、これに対し、宝塚はそれ自体明確な意味をもち、一般人にも親しみ深いものであり、しかも右『宝塚』なる文字は本願商標のほぼ中央部に普通の活字で極めて読み取り易く表示され、独立して看る者の注意をひくように構成されている」という事情が認定されており、このことを前提にすれば、リラ宝塚印なる称呼、観念のほか、宝塚印なる称呼、観念を生じるとしている。

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